モダン仏壇と金仏壇・唐木仏壇の違い|家具調仏壇の選び方を八代続く仏壇店が解説

「仏壇を探し始めたら、モダン仏壇と伝統的な仏壇が並んでいて、どちらを選べばいいのか分からなくなった」。ご相談でいちばん多いのが、この迷いです。

見た目が違うのは分かる。けれど、中身として何がどう違うのか、そして自分の家にはどちらが合うのかが分からない。この記事では、その2つを順にご説明します。姫路で八代、仏壇と寺院の仕事を続けてきた立場から、どちらかを勧めるのではなく、判断の材料をお渡しするつもりで書いています。

モダン仏壇とは

モダン仏壇とは、現代の住まいに合わせた形・素材・大きさでつくられた仏壇のことです。家具調仏壇、リビング仏壇などとも呼ばれます。

明確な定義や規格があるわけではありません。共通しているのは、和室や仏間に据える前提ではなく、リビングや洋室に置いても違和感がないよう設計されているという点です。棚の上に置く小型のものから、床置きの背の低いタイプまで幅があります。

金仏壇・唐木仏壇(伝統的な仏壇)とは

伝統仏壇は、古くからの様式に沿ってつくられた仏壇です。大きく分けて2つの系統があります。

  • 金仏壇 — 木地に漆を塗り、金箔や金粉で仕上げたもの。内部が金色に輝くのが特徴で、産地ごとに技法や意匠の違いがあります
  • 唐木仏壇 — 黒檀・紫檀・欅などの木目を生かして仕上げたもの。落ち着いた木の色合いが特徴です

いずれも仏間や和室に据えることを前提にした大きさ・つくりのものが中心です。

5つの観点で比べる

1. 大きさと置き場所

もっとも大きな違いがここです。

伝統仏壇は仏間や和室に据える前提のものが多く、置き場所が先に決まっているという考え方でつくられています。一方モダン仏壇は、置ける場所に合わせて選ぶという逆の順序です。棚の上、チェストの上、リビングの一角など、置き場所の自由度が高くなります。

新しい住まいには仏間がないことのほうが多くなりました。「置き場所から探す」という順序で困っている方には、モダン仏壇のほうが現実的な選択肢になります。置き場所と大きさの決め方は「マンションに置ける仏壇の選び方」でも詳しくご説明しています。リビングや寝室に置く場合の考え方は「仏壇の置き場所はどこがいい?」でご説明しています。

2. 意匠と素材

伝統仏壇は、様式そのものに意味があるつくりです。内部の構造や装飾の一つひとつに、受け継がれてきた形があります。

モダン仏壇は、その様式から離れて、部屋との調和を優先して意匠を決められます。ここで気をつけていただきたいのは、モダン=簡素・簡略化とは限らないということです。同じ「モダン仏壇」の棚に、量産の家具として作られたものと、伝統的な技法で一つひとつ仕上げられたものが並んでいます。外形はモダン、中身は伝統工芸というものもあります。

3. 宗派との関係

伝統仏壇は、宗派ごとのお祀りの形式に沿ってつくられているものがあります。

モダン仏壇は、宗派ごとの様式に固定せず、お位牌やご遺影を中心にお祀りできるつくりのものが多く、宗派を問わずお使いいただけるとされているものが少なくありません。

ただし、お位牌の扱いやお祀りの作法は、同じ宗派でもお寺様によってお考えが異なることがあります。ご心配な点は菩提寺のお寺様にご相談ください。宗派の考え方については「宗派を問わない仏壇とは」でも触れています。

4. 価格の考え方

どちらの様式にも、量産品から工芸品まで幅広い価格帯があります。「モダンだから安い」「伝統だから高い」という関係はありません。

見るべきは様式ではなく、何にいくら払っているかです。木地はどこで作られているか、塗りは本漆か塗装か、装飾は手作業か印刷か、仏具は価格に含まれているか。この4点を確認すると、同じ価格帯のものでも中身がかなり違うことが分かります。価格の中身については「ミニ仏壇・コンパクト仏壇の価格の決まり方」で詳しくご説明しています。

5. お手入れとお参り

伝統仏壇は、金箔部分にはできるだけ触れないなど、部位ごとの扱いに気を配る必要があります。

モダン仏壇は、素材によってお手入れの方法が変わります。塗装仕上げのものは乾拭き、本漆塗りのものは塗物専用の布でやさしく乾拭きするのが基本です。詳しくは「漆仏壇のお手入れ方法」をご覧ください。

比較表

モダン仏壇伝統仏壇
置き場所置ける場所に合わせて選ぶ仏間・和室に据える前提が中心
大きさ棚上サイズ〜床置きまで幅広い大型が中心
意匠部屋との調和を優先して選べる受け継がれた様式に沿う
宗派問わないものが多い宗派の形式に沿うものがある
価格帯量産品〜工芸品まで幅広い量産品〜工芸品まで幅広い
素材木・金属・ガラス・漆など多様漆・金箔(金仏壇)/唐木(唐木仏壇)

どちらを選ぶか — 3つの質問

迷ったときは、次の3つを順に考えてみてください。この順序が大切です。

1. 置ける場所と寸法はどこですかまず置き場所を決め、メジャーで幅・奥行・高さを測ってください。ここが決まると候補が一気に絞れます。逆に、気に入った仏壇を先に決めてから置き場所を探すと、たいてい行き詰まります。

2. お寺様との関わりは続きますか菩提寺とのお付き合いが続く場合は、様式について一度ご相談されると安心です。特にこだわりを示されない場合も多く、その場合はお参りのしやすさを優先して構いません。

3. 何年、そのそばで手を合わせますか10年、20年と使うものです。毎日目に入る場所に置いて、心が落ち着くかどうか。この感覚は、写真だけでは分かりにくい部分です。可能であれば実物をご覧になることをおすすめします。

「伝統技法でつくられたモダン仏壇」という選択肢

モダンか伝統か、という二択で悩まれる方に、もうひとつの見方をお伝えしています。形はモダン、つくりは伝統という選び方です。

当店の本漆塗りのミニ仏壇「漆恵(うるしえ)」は、その考え方でつくったものです。大きさは横幅32cm×奥行23cm×厚さ6.5cm、A4判ほど。フェイスを閉じると仏壇と分からない佇まいで、リビングにも置けます。

一方で、塗りは本漆。本体の色は黒・梨地・紅溜・緑・青・ピンクの6色から選べ、いちばん人気は黒です。フェイスには蒔絵・銀板・カルトナージュといった装飾を選べます。仏具は手作りのオリジナルガラスの仏具5種(花立・香炉・灯立・仏飯器・茶湯器)、砂張(さはり)のおりん、防炎マット、専用の布袋まで含んだ価格で、55万円(税込)からです。

大きさや置き場所の都合で小さな仏壇を選ぶことが、供養の質を落とすことにはなりません。 形が現代的であっても、中身は伝統の技法でつくれます。私たちが漆恵をつくったのは、その両立ができると考えたからです。

よくあるご質問

Q. モダン仏壇と伝統仏壇では、どちらが格上ということはありますか。A. 格の上下という考え方はありません。住まいの形が変わったことで仏壇の形も広がった、というのが実際のところです。大切なのは毎日手を合わせられることで、様式の違いが供養の価値を決めるものではありません。

Q. モダン仏壇は宗派を問わず使えますか。A. 宗派を問わずお使いいただけるものが多くあります。漆恵もそのひとつです。ただしお位牌の扱いなど細かな作法は宗派やお寺様のお考えによって異なりますので、菩提寺のお寺様にご相談ください。

Q. 家具調仏壇とモダン仏壇は違うものですか。A. ほぼ同じ意味で使われています。家具のような佇まいで、洋室やリビングに置ける仏壇を指す呼び方です。明確な区分があるわけではありません。

Q. 伝統仏壇からモダン仏壇に買い替えても失礼になりませんか。A. 住まいの事情で買い替えられる方は多くいらっしゃいます。お位牌を移す際にお寺様への法要が必要かどうかは宗派やお寺様のお考えによって異なりますので、菩提寺のお寺様にご相談ください。

Q. モダン仏壇のほうが安いのですか。A. 一概には言えません。どちらの様式にも量産品から工芸品まであります。塗りが本漆か塗装か、装飾が手作業か印刷か、仏具が価格に含まれるかを確認すると、中身の違いが見えてきます。

Q. モダン仏壇でも線香やローソクは使えますか。A. 商品によります。漆恵では線香は香炉、ローソクは灯立でお使いいただけ、付属の防炎マットの上で安全にお使いいただけます。火の消し忘れにはご注意ください。

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実物をご覧になりたい方へ

漆恵は兵庫県姫路市(姫路城の近く、姫路駅から徒歩20分)の店舗で実物をご覧いただけます。火曜が定休日のため、ご予約いただくとスムーズにご案内できます。遠方の方にはWeb会議でお色味をご確認いただくことも可能です。まずは資料だけ、という方にはパンフレットを郵送いたしますので、お気軽にお問い合わせください。